村の鍛冶屋
村の鍛冶屋
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一、暫時(しばし)もやまずに 鎚(つち)うつ響(ひびき)
飛び散る火の花 はしる湯玉(ゆだま)
鞴(ふいご)の風さえ 息をもつがず
仕事に精出す(せいだす) 村の鍛冶屋
二、あるじは名高き(なだかき) いっこく老爺(おやじ)
早起早寝の 病(やまい)知らず
鉄より堅しと(かたしと) ほこれる腕に
勝りて(まさりて)堅きは 彼がこころ
三、刀(かたな)はうたねど 大鎌小鎌(おおがまこがま)
馬鍬(まぐわ)に作鍬(さくぐわ) 鋤(すき)よ鉈(なた)よ
平和のうち物 休まずうちて
日毎(ひごと)に戦う 懶惰(らんだ)の敵(てき)と
四、かせぐにおいつく 貧乏(びんぼう)なくて
名物(めいぶつ)鍛冶屋は 日々に繁昌(はんじょう)
あたりに類なき(るいなき) 仕事のほまれ
鎚(つち)うつ響きに まして高し(たかし)